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詰将棋作家の見た世界
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首猛夫
性別:
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職業:
怪しい金融業
趣味:
詰将棋創作 音楽演奏
自己紹介:
昭和31年9月、東京生まれ。
詰将棋作家集団「般若一族」の生き残り。
詰将棋創作以外に、作曲(約100曲くらい)音楽演奏(ベース)。
人間についても、自閉的観点からいろいろ考えている。
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★2008/05/04 (Sun)

議論。

議論を始める際に大切なことがある。
それはなぜそのような議論を求めるのかという最初の観点である。

議論をする以上、そこには何らかの目的があり、たいていの場合、主張する側にとって「自明の理」とも言うべき自信が備わっていて、あらかじめ何らかの結論めいたものが用意されている。
そして、その確認作業ともいうべき観点から議論が進められるので、キチンと新たな展開を求めたり、相手の主張を正しく聞こうという姿勢があまり感じられない。

だいたい、日本のあちらこちらで行われている議論のほとんどが、相手の話や意見を最後まで聞くということがない。

議論をする上での一番最初の原則は、意見を述べる権利の保障である。
もちろんあまりにもまとまりのない、感情に彩られるだけの、長い意見陳述などは、後々相手にされない要因を作ることになる。
だから意見を述べる側も、権利の保障に甘えることなく、わかりやすい、手短な要約があらかじめなされていなければならない。

まず、そうやって互いの意見をキチンと聞く準備が備わったら、次の段階で、問題になるのが「相手への尊重である」

ふだんから尊重するということに、ほとんどなれていない人々は、自説をさえぎられるとすぐに感情的になる。
議論という場はあくまで現実の諸々の背景を持った中で行われる。
だから、そこには必ずといっていいほど利害関係が存在し、自身の利益を守る側はそれが脅かされると、議論の上ではもちろん、その場を離れてでも、とにかく相手をねじ伏せることに走る。

当然そこにあるのは、自説に賛成してくれるものだけへの、尊重であり、自説に異を唱えるものに対しては、時に憎しみを持って接する。

これは、議論という場が、自分の「自己保全」のための場であり、意見を交換したり、相手の意見を聞くことによって、独善に陥る危機を脱したり、欠陥 をなくしたり、という姿勢が微塵もないことを意味する。

こういった「自己保全」に人が走るのは、いつも言っているように、自我は不安にさらされ、救いの手は遠のき、バランスをとることさえ難しくなっているからだ。

この自我とのかかわりあい方と議論とのかかわり方を幼いときから訓練していないと、冷静に議論を戦わさせることが難しい。
多くのTV討論会や、一つの議題をめぐっての論戦があまりにも稚拙で幼稚な次元で終わってしまうのも、基本的な議論に参加する者たちの姿勢がなってないからだと思う。

相手が言い終わるか終わらないかに言葉をかぶせ、自分のほうが正しいんだから黙って聞けというような姿勢で話が始まる。
そういうご自分こそ、黙って最後まで聞くべきだと思うのだが。

わたくしの経験によれば、議論に参加する人の約9割以上が、最後まで言いたいことをすべて喋っていただくと、実はたいした内容を持っていないことが、周囲にも時にはご本人にもわかる時がある。
そうすると反論の手間が省ける。

逆に傾聴に値する、内容のある1割にも満たない意見は、こちらに得るものが多く、思わず敵ながら天晴れと唸ってしまうことさえある。
もちろん、そもそも敵対することなく、一つの目標に向かって、議論を戦わせ、より良いものを作り出すことが理想なのだ。

だから、力で相手をねじ伏せるよりは、黙って聞いている方が、ラクで効果的。

正確に受けている方が、勝率が良いのは何も将棋に限ったことではなさそうですね。

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