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詰将棋作家の見た世界
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首猛夫
性別:
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職業:
怪しい金融業
趣味:
詰将棋創作 音楽演奏
自己紹介:
昭和31年9月、東京生まれ。
詰将棋作家集団「般若一族」の生き残り。
詰将棋創作以外に、作曲(約100曲くらい)音楽演奏(ベース)。
人間についても、自閉的観点からいろいろ考えている。
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★2008/05/07 (Wed)
わたくしが、詰将棋を仲間と創作していた頃、常々感じていたことがある。
それは、詰将棋の世界の向こう側に潜む何かを、表そうとしていたこと。

詰将棋はあくまで「世を忍ぶ仮の姿」でその世界が描くある何か特殊な空間のねじれを、表したかったのである。

将棋世界最新号(2008年6月号)に掲載されている天才先崎学が書いた今期名人戦七番勝負の第一局。
その中の一説に

「・・・4五に位のある形は異様な空間で、盤全体がこの地点からねじ曲がっている。・・・・」

という表現がある。

わたくしは先崎学という天才が、勝敗を競うレースから降りたことを最初は非常に残念に思った。
もちろん、彼自身は今でも現役のプロであるが、その才能から言って、今の状態は不本意どころか、道を踏み外している。
才能だけなら、おそらく後にも先にも彼の独壇場ではなかったか。

それがどうしたわけか、彼は第一戦から退いた。

すべてを捨てて、恥を忍んで、もう一度一からやり直して、名人になれる器である。
しかし残酷なことに神は彼に様々な才能を与えすぎた。
上の一文など、将棋界でこれを書けるのは先崎学ただ一人であろう。

道がそれた。

そう、わたくしたち「般若一族」はまさにその異様な捻じ曲がった空間、そしてその特異点を、見つけ応用して、作品を創っていった。
そして、そのような特殊な空間、歪んだ場、ひずみのある領域は何も詰将棋、将棋の世界だけにあるものではなく、実は人間の認識の偏りにその実態がある。

わたくしたち「日本人」が「日本人」であることを真に意識できるのは、「日本人」ではない「外国人」を認識したからである。
その論理で行けば、わたくしたち人類の認識の限界・偏移は「宇宙人」の存在で明らかになるのだろう。

わたくしたちは、詰将棋という一種のパズルを通じて、その世界の向こう側にある、人類の英知、限界、偏移を表したかったのである。
そうすると、創作にとって最も重要なのは、その世界の向こう側に何があるかを見つめるまなざしということになる。

それはおそらく、既成概念のない、自由な、まなざしだと思うが。
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