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詰将棋作家の見た世界
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HN:
首猛夫
性別:
男性
職業:
怪しい金融業
趣味:
詰将棋創作 音楽演奏
自己紹介:
昭和31年9月、東京生まれ。
詰将棋作家集団「般若一族」の生き残り。
詰将棋創作以外に、作曲(約100曲くらい)音楽演奏(ベース)。
人間についても、自閉的観点からいろいろ考えている。
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★2024/11/01 (Fri)
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★2007/10/01 (Mon)











<第1図>



初期の作品。
ほとんど詰将棋を作ったことがなかった。
なるべく中合や機械的な面白味のあるものをと考えていた。

この作品もずいぶんやさしいが、町道場の五段クラスが悩んだものだ。
打歩詰⇒不成と言う固定観念からいったん離れないと中々解けない。

がんの宣告を受けて、わたくしの持ち時間がそう長くはないと悟った。
しかし、精密な検査結果が出ていない現段階では、半年なのか十年なのか、まったくわからない。

これにも困ったものだが、何しろ病院は混んでいる。
「進行がんだね」と言われたあとに、手術は11月上旬と言われたのが、9月26日。
冗談じゃない、それまでにあちこち転移したり、進行したらどうするんだとたずねたら、「どこでも約3週間から4週間は待たされますよ」・・・

設備もあって、医師もいる。
なのに進行がんは放っておかれる。
しかしみな待っているのか、ならば仕方がない。

都会にいるのに、まるで砂漠の野戦病院のようなところだ。
日に日に、腹痛や腰痛まで広がっているようだが、本当にわたくしは大丈夫なんだろうか?


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★2007/09/30 (Sun)

ガンだった。
まさか自分が宣告されるとは、夢想だにしなかったので、最初は実感が湧かなかった。
内視鏡の専門医に診てもらった時には、

「十中八九ガンだろうが、割合に小さいので、開腹手術(内視鏡では取れないらしい)になる」
「直腸ポリープ(ガン)を取ってしまえば、完治します」
「このくらい大きさなら転移もないでしょう」

とにかく、自分はガンであるらしく、割合に早期だったので、完治するとのコメントだった。

そして、神奈川県立ガンセンターを紹介してもらい、それから5日後に、行った。

そこでの消化器の専門医は、

「そんな簡単にはわからない。」
「第一、組織もとっていないのだから、まずは組織検査から」
「99%ガンだね、それも進行ガン」
「転移もキチンと調べる」
「手術になるのか、抗がん剤になるのか、放射線治療になるのか、不明」

とにかく、早期で早く取ってしまっても、わたくしの残り時間はそう長くない、と言うことはわかった。
まあ、それでも、直腸ガンは、ガンの中でも治癒率が高く生存率も高い。
中には、人工肛門になりながら十年十五年と長生きされる方もいると聞いている。

現代はガンとともに生きる時代。
幸いわたくしはまだ早かったほうで、不幸中の幸いかもしれない。

しかも肛門から少し距離があるところなので、人工肛門には、ならないで済むらしい。

さて、ここで残り時間がおそらく少ないわたくしはどうするか・・・
まずは、般若一族のものがたりの一部始終、その顛末を最後まで書き綴らねばならない。
それが時代の証言者としての使命だろう。

また、わたくし自身の一風変わった考え方もキチンとまとめておきたい。
それはわたくしが生きた証と言うのではない。

これから現れるであろう、「新しい人」への、責務のような気がする。
わたくしのような自閉的傾向で見たこの世界の話を、バトンしなければいけないような、錯覚がある。

詰将棋とはかけ離れたお話が続くかもしれないが、そこはご容赦を。

★2007/08/08 (Wed)


<第1図>

第1図は、1971年6月号詰将棋パラダイスの表紙を飾った
山本民雄氏の作品。

そして下の第2図は、先日ご紹介した山田修司氏の作品。
正確には、途中からの図面を山本民雄氏の作品と比べる
ために、左右を反転した。



<第2図>

このふたつを並べて、「パロディ」と言った山田氏の意味が
ようやくわかった。
山本民雄作品を知らないと何のことかわからない。

ふたつの作品で、違っているのは55歩の意味づけが二つあること。
一つは、12角の遠打に対して、56歩突きという逃れを用意。
もう一つは、第2図からの手順中、8手目28玉に対しては、
37角、同玉、38龍、46玉、47龍まで。
このとき、盤面55歩が退路を塞いでいる。
逆に言えば、何と盤面55歩がないとこの作品は詰まない。

このパラっとした巧妙な配置は、山本民雄氏のアレンジに
過ぎなかった。
とはいえ、55歩の追加で、進歩したことは、価値あることだ。

そして、もう一つ、この

遠打⇒中合で×、よって近打して遠くへ開く
(と、いうこの手筋を何かいい呼び名はないものか)

手筋の素晴らしい作品を忘れていた。




<第3図>

詰将棋パラダイス1985年12月短編競作展。
愛上夫氏作。
何と、107名の解答者中53名が転倒!

それは下の図のように、33飛と打ってしまった。




<第4図>

33飛に対しては34歩中合が打診中合と呼ばれる高度な
防衛作。
第4図のように、この歩中合に対して、34同飛不成とすると、
49玉と逃げられ、飛がなれないので詰まない。

かといって下の第5図のように、34同飛成とすると・・・



<第5図>

最後に打歩詰が打開できず詰まない。
だから第3図のように、近打して遠くへ開く。
今度は、33飛不成の時に、38歩中合は、同飛成、19玉、
18金、同玉、19歩、同玉、29龍まで。

この形の決定版ともいえる作品だが、伊藤正氏のほうが
発表は早い。

この手筋にはまだ他の作品や、伊藤正氏より前にある
のだろうか。



★2007/08/06 (Mon)


<第1図>

第1図は詰将棋パラダイス2007年8
月号に結果稿が掲載された
山田修司氏の作品の途中図。
最後に全手順を掲載したので是非見てほしい。
 
出題は、同年月号の彩棋会の作品として掲載された。
 
第1図から、67角としているが、これはどう見ても変だ。
だって、誰だって12角と打たないだろうか?

第1図から12角に対しては

1:56香(前に進むコマ)合は、以下同角成、同歩、67角、
  99玉、79龍、98玉、89龍、97玉、98香(前に進む
  コマ)まで。 

2:56桂合は、以下同角成、同歩、67角、99玉、79龍、
  98玉、89龍、97玉、99龍、98合、89桂まで。

つまり、56に合駒すると詰むので、勢い下の第2図のような手順で
詰んでしまう。
 
 
<第2図>
 
ではなぜ、第1図のようなややこしい手順をするのか?
実は、12角には56歩!という絶妙手がある。
驚くことに、これで詰まない。
以下、56同角に99玉、69龍以下進めても、56以遠に角が移動できないために
詰まない。
 
この作品がスゴイのは、これだけの構想を左側のパラッとした配置で可能にしたこと。
はやくも看寿賞の呼び声も出たほどの作品。
 
しかし、この
 
遠打=中合で詰まない ⇒ 近打=空き王手で遠くへ
 
という図式は初めてではない。
 
第3図を見てもらおう。
詰将棋パラダイス1983年3月号大学、伊藤正氏の作品の途中である。
こちらも最後に全手順を掲載した。



<第3図>

 
第3図でいきなり94角は85歩で詰まない。
角が成れないと馬鋸出来ないからだ。
 
そこで、58角と近打して、94へは空き王手で角が行く。
山田作品の67角と近打して12へは空き王手で角が行く、のと同じ。
もちろん、伊藤作品は約四半世紀も前のこと。
 
山田修司氏は、山本民雄作品のパロディといっているが、これがよくわからない。
わたくしの勉強不足だろう。
どなたかわかるかた教えてくださいな。
むしろ伊藤正氏の作品の変奏曲ではなかろうか。
意味づけも舞台もだいぶ異なっているが。


<山田修司氏作品>

 

<伊藤正氏作品>


★2007/08/01 (Wed)



35角、同馬、18銀、16玉、27銀、25玉、36銀、16玉、
27銀、25玉、18銀、16玉、26飛、同馬、28桂、25玉、
24飛まで17手詰。


短編の名手畠山広吉氏の作品からヒントを得て作った作品。
銀のやりくり(フィードバック)を見てほしい作品。


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★ ILLUSTRATION BY nyao